女の子が大好きだ。
ヤロウと違ってきれいだしやわらかいし強いしたくましい。尊敬してる。すげー大事。


 でもでもでも、僕だって健康な男の子なわけですので。
時々はこんな不道徳で不埒な願望を抱いてしまうこと、その寛大なお心で、どうぞ許してくださいね。








PreTTy BaD !!










 < 願えばかなう >




 そう言ったのは誰だったか。





 夢を持って、それをかなえるため船にのりこんだクルーの中でも、俺のは少し意味合いが違う、と感じることがある。自力じゃなんともできない、という点で。


 ―――― 伝説の海・オールブルーを見つけること。


 達観して言っちまうと、これって、運の要素が強いと思う。あてのない所から「みつける」ものだから。

 そんな俺と対照的で分かりやすいのがクソ剣士だ。
世界一の剣豪を目指すヤツは、鍛錬して強くなればそこに近づくっつー地道な努力の道がある。どんなに道はけわしくても、ラインはその一本で、常に見えている。

 確実に近づくラインを持たない俺だが、それをうらやましい、とは思わないようにしてる。



 だからこそ、というのも変だけど、オールブルーのことをよく想う。考える。
そこにふさわしいコックになれるよう料理の腕も上げようと決意しながら、まだ見ぬオールブルーを考える。

 雑多な生活の中にまぎれてしまわないように。祈っている。



 ―――― 願えば近くに。



 引き寄せる引力がはたらくかも、なんて。

 そう思いたいんだろう。







 そんな願いのほかに。
もうひとつ、いやふたつみっつよっつ・・・・・・いやいやいや、数え切れないほど願いはある。そんなの、誰でもそうだろ?。

 今日はもっと寝ていたいとか もっとアレ食いたいとか、あいつの持ってる時計が欲しいとか。
 女の子にチヤホヤされたいとかこの世の男の人口を減らしに減らして、かわりに女の子を増やそうとか。露出度高めの服が今年ははやんないかなぁとか(もちろんレディの話だ。ヤロウは隠せ。つーか家でんな)。


 まあそういう、「〜〜したい」っつーありふれたさして強くない願望とか。






 ―――― あと、「もし〜〜だったらなぁ」的、かないやしないドリームな願いとか。








 そう、かなうなんて思ってなかったんだ。

 オールブルー発見!!!の数百倍はかなわないと・・・・・・つーか、ストレートに言って かなわないんだよフツウ!!!。












「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウソだろ・・・」





 俺は呆然とつぶやいた。

 その声は、いつも耳にしてた自分の声より少し高かった。
















 数え切れない「もし〜〜だったらなぁ」な望みのうちの。
もっともかなわないだろうもの。






『女の子になってみてぇなあvv』



 が、かなってしまった。












 空島のカミサマもびっくりだ。








☆☆☆☆☆






 この願いを口に出したのは、そういえば最近のことだった。

 まあ、願い自体は思春期あたりから漠然と根強く持ってはいたんだが。






 船をあげての飲み会のあと、女性陣が部屋にひきあげて、男どもはみんな甲板でそのままツブレて寝てて。例外の俺とゾロだけしか起きてなかった夜。

 俺も少し酔ってたし、どんな経緯かは分からないけど、上機嫌に話題にしたのを覚えている。

「あー、女の子になってみてぇなあ
vv。一度でいいからさ。男の夢だよなあvv
 とかいろいろ。

 ハラマキしたマリモはあきれたようなカオして、でも俺のトークを切ろうとはせずに あいづちはきちんとうってた記憶がある。

 なんだよこいつ意外にキョーミしんしんだな、こいつも実は女の子になりたい派だな、と嬉しかったのだ。やっぱり自分だけでなく、人類の男はみんなそう思ってる、と再確認 (機嫌がいいからマリモも人類枠に組み入れてやることにした)。





 俺は話し続けた。


 女の子になったら、たくさんの

 したいこと、

 されたいこと――――









「――――――――できるじゃん」

 もちあげた両手の平をなんとなく見下ろして、俺はつぶやいた。
手だけ見てると、あんまり元のと変わりない。けど、出てきた声はやっぱり――――ちょっと高めで、ちょっとカワイイ。



「できるッッッ!! なんでもできるッッッ」

 次は大声。もちろん性別が違っても同じ人間なんだから、声だの動作だのの手順はかわらない。俺はいきおいよく立ち上がり、無意識にガッツポーズをしていた。

「――――っと」
 少しだけ体がふらつく。ノドも少し痛い。



「なるほど・・・・」



 理性的かつインテリジェンスな俺だから、その身体の不調から、現在の身体の変調までをあっさりと理解することができた。











 そもそもこの事態の原因は 例のゾロとの会話より後、そして今から二日前のことだ。

 慢性的な食料難に悩むゴーイングメリー号。さらに加えて盗み食いという重犯罪事件まで発生してしまい、今日も今日とて食料がない。
 これ幸いと、見かけた小島に寄って食料を調達したのだ。

 無人島だったので森から採取するしかなかったんだが、男連中が持ってきた木の実の中にいくつか、俺が知らないものがあった。

 動物もそうだが植物も外敵への『しかけ』をもっているものが少なくない。彼らも生き残るために必死だ。自力で場所移動ができない植物だからなおさら。
 食べてみたい誘惑はあるもののそう結論づけ、安全性が分かるまでは食うのを保留にして袋につめてキッチンに置いておくことにしたんだが。


 中のひとつに、桃と似通ったピンク色したうす皮に包まれた、見た目うまそうで無害そうなやつがあって。

 コレはいけそーだなあなんて思ってた俺に博識のロビンちゃんが、
「似たものを別の島で見たことがあるわ。問題ないはずだけど・・・。その食べ物は、中の果実がまっ黄色なの。それじゃないかしら」
 と教えてくださったから、みんな寝静まった夜、ためしにそれを切り分けてみることにしたのだった。




 中から出てきたのは、皮と同様、ピンク色の果肉。


 ―――― やべ、話と違う。

 と思ったときは遅かった。


 手についた果汁がそでにしたたり落ちそうで、つい、本当につい無意識の動作でなめとってしまっていた。

「っ!」

 その瞬間、舌が酸にやられたように痺れて。
のどが焼けて脳が真っ白になるような―――― それはイッた時のカンジにも少し似ていた――――衝撃がきて。





 気づいた時は床に倒れてたんだから、気を失っていたんだろう。目覚めた俺の身体は女の子になっていた。







☆☆☆☆☆







 まな板の上には、人工的にさえ思えてしまうドピンク色の果物がまっぷたつにされたまま転がっている。


 ―――― 俺がこうなった原因だ。

 原因はハッキリしている。てことは、対処法もすぐ見つかるだろ。



 俺は現状に悩むのはやめた。もともとするつもりもないが。
頭にあるのはラッキー
vv、とかヤッタぜ!!とかだけだった。

 かなう確率ゼロと思ってた願望が実現したんだから、祝杯をあげたい気分だ。つーかあとであげよう。


 鼻歌なんか歌いつつ、浮き立った心で、スーツの上からさっそく己の胸に触れてみる。起きてすぐに気づいた、そのふくらみ。


 厚手のスーツはジャマだ。俺はジャケットを脱いでそのへんに放った。シャツだけになると、視覚的にもはっきりとそのふくらみが分かる。
 うわー、俺ホントに女の子だよ、と感動がわきあがった。

 また右手を左胸に持っていく。
指先がふれると、やわらかい弾力が布ごしに伝わってきた。もちろんノーブラだから、その感触はよりダイレクトだ。

 さわったカンジからすると豊かなほうじゃなくて、Aカップがいいとこだった。
それでも、身体に男の時は感じなかった負荷をそこに感じる。もっと重かったら邪魔そう。
 ナミさんやロビンちゃんは大変だなーよく巨乳は肩がこって云々・・・と聞くが、苦労はたくさんあるんだろうな、なんて思った。



 エッチ中、相手の女の子の胸さわってる途中だったら、失礼にそんなよそ事考えてるはずもないが、自分で自分のカラダをいじくってるだけなので、なんだか冷静だった。

「意外にキモチよくねーもんだな・・・」

 よくエロビとかでは胸いじられたりもまれただけで声あげたりしてるけど・・・実際はそうでもないのか? 演技なのか?。いや、女優さんだからもちろんバリバリ演技はしてるよな、それはこっちも分かって観てるから問題ねぇけど・・・・・・・・・

 キモチよくないまま、惰性でふくらみをさわる。と、ぷく、と指の腹が突起をかすめた。


「・・・・・・・・・・」
 そいや。
自分も女の子とヤる時は、乳首を攻めた時のが反応があった気がする。
きゅ、とつねると、「イタイってば」なんて言いながら、全然嫌がってなくて。

 ジャケットに続いて中のカッターシャツも脱ぐ。気候は春島近くだから、ちょっと肌寒いけど脱いでても気にならない程度だ。

 見下ろす先には、男の俺よりいくらか細くなってる身体があった。まっ平らだったのが、今は控えめにふくらんでいるふたつの胸。小さいけど美乳だ。ツンとしててかわいらしい。
 自分のだから、見下ろすアングルでしか見れないのが惜しいくらいだ。

 左胸の先についてる乳首を指にはさんでみる。じょじょに力をあげてそこを押すと、確かに淡い快感がはしった。指の力を入れた時に連動した、ビリっとした刺激。痛みも少し。

 けど、悪くない。
痛いと文句つけつつヨさそうにしていたレディのキモチが分かる。



 キッチンでひとりで上半身裸になって自分の身体をいじってる俺。
なにやってんだと言われそうだが、これはかねてからの俺の願いだったのだ。




 女の子になったら、したいこと、されたいこと――――


 の、『したいこと』。




 つまり、男にとって永遠の秘境・『女体』の神秘をさぐることだ!!。













 これは前述の飲み会の時、ゾロにもさんざん語ったんだが――――


「セックスの時、ホントにイイのかとかさ、気になんじゃん?。どうしたって相手のカラダにはなれねぇわけだしさ。男と違ってハッキリ見てわかんねーもん。もしさぁ、ウソでカンジてる演技とかさせてたら、すげー申し訳ねぇじゃねえか!!って別に俺がヘタクソだとかそれを気にしてるとか、そーゆーんじゃねぇぞ俺はきっとテクニシャンだ!!。まあともかく!!。レディがどんなとこをどうカンジるのか、きっちーんと調べてみてぇよなぁ」


 ――――てな風に。


 望みがかなった今、このカラダを使ってそれを実験・探求するのはもはや俺の使命だ!!!。




「とりあえず、胸の感度はまあまあだな・・・吸ってみてぇけどそれはムリとして・・・次は・・・」

 思考しつつもまだ指は乳首をいじり続けている。
力かげんとしては強く性急に、よりは じらすぐらいにやんわりゆっくり、のがキモチいいのが分かる。これは発見だな。覚えとこう。

 色づいて、たちあがって、より敏感になってるふたつの突起。
いつか未来の赤ん坊のためというより、やっぱり男としては男の欲のためにあるもののような気がしてしまうイヤラシイ部分。快感まで拾うあたりが実に男に都合よくできてるとさえ感じてしまう。

 つねったりつぶしたりするとジンジンと背中にも快感が伝わる。背中だけじゃなく、へその下辺りにも。



「・・・・」

 キモチイイ。


 男だったら、血が下に集まりはじめてる、そんな慣れたうずきを感じてるところだろうか。
 完全勃起とはいかないぐらいの、でもカラダはそっちのモードにきりかわっていく。



 自分の身体・・・のはずなんだが、その快感にはちょっとだけ罪悪感も覚えてしまいそうだ。
 これは俺のものではないという他人行儀さが生まれてしまう。抵抗できない女の子のカラダを視姦して、イタズラしちまってるみてぇな――――



 でも、とまらない。


「次は、やっぱ・・・」

 胸からようやく手をはずし、かわりにそれをもっと下へ落とす。ボトムの上からソコのあたりにふれてみる。
 感触がなくてもわかるが、生まれてからずっと一緒だったムスコくんはそこにはいない。心もとなさを感じるが、興奮の方がもちろん上だ。

 ゆるゆるになってるベルト。ウエストが細くなってるからだと気づいた。
はずさなくても脱げそうだったが、一連の慣れた動作でベルトそしてボタンをはずしてボトムを下げた。













「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 なんだか一気に萎えた気分になってしまったのは、ボトムの下から現れたのが、見覚えありまくりの男性用下着だったからだ。


 まあ当たり前なんだが。

 俺のカラダだもんな。


 イタズラしてた気分、視姦してるみたいで申し訳ないなんて思ってた殊勝な感情がアッサリ消えうせる。
 同様に、アッサリパンツをひき下ろした。


 やっぱ、ない。
あるべきだったものがすっかり消えて、そこは空間になっていた。すきまから後ろの壁が見える。

 ついでに言うと、ムスコもないが肉もあんまない。

 俺自身としてはもうちょっと肉がついてる方が好みだ。ヒップも太ももも。
元が俺の身体なせいか、胸もそうだったけどそこまで顕著に女性化はしていない様子。ちっと残念かも。ってゼイタクか。


 俺の年齢がそのまま投影されるなら十分レディの身体のはずだが、印象としてはまだ未発達な いたいけなもので。

 素っ裸になったので全部が見通せる。女の子はいつでも女の子のハダカが見られていいなぁなんて思う (自分のだとありがたみなんかないだろうが)。

 ぺたぺたと腹だの背中だの尻だの足だのをさわってみた。肌の触感はあまり変わらない。すぐに飽きて、俺はホントはかなりさわってみたかった場所に指をのばそうとして――――





「・・・・・」
 さすがに立ったまんま(しかも普段調理してる調理台の前で)てのも・・・と気づき、ちょっと場所移動して食事テーブルのわきにぺたんと座った。ジャケットを下にしいて。ヨシ仕切りなおしだ。

 テーブルの足に背中をあずけて、ひざをたてて座る。
ひざとひざの間は二十センチほど。



 思わずドキリとした。

 くずした体育座り、ってヤツだけど、今の自分のカッコウに気づく。女の子がハダカでこんなのしたら「カモーン」つーかノリノリつーか。信じられないほどイヤラシイ格好だ。正面から見たらそりゃばっちり見える。
むしろ自分じゃ見えないトコまで見える。

 秘所というけど、なにが秘所なんだろう。男に見られて、さわられて、そして、イロンナ事をされる場所。

 むしろ自分にだけソコは隠されている。あさましいカッコウをしても、自分だけにはその全貌なんか見えなくて。




「・・・・・・・・っ」

 心臓が鳴り始めた。


 動かそうとしてる指の感覚が薄い。けど、指先がソコにやんわりと届いたとき、逆に過敏にその触感が伝わってくる。















「レディのカラダになれたらさー、絶対オナるよな」

 ―――― 酔ってゾロに言ったセリフ。

 あいつはなんて答えたんだっけ?。



「女の子のイクって、どんなカンジなのかな。今後の参考のためにいろいろ調べたいってのももちろんあんだけど―――― レディのカラダになれたら、絶対、キモチよくなりたいよなー」




「ぐちゃぐちゃにヌレて、イッてみてぇ」













 手のひらでそこ全体をおさえるように触れてみた。あっさりと手の中に隠れてしまう陰部。さっき胸をいじったとはいえ、ソコはまだそんな兆しはみせてないが。


 ドキドキする。

 今はかわいたココが。ほかの皮膚とも変わらないようなココが。


 俺の手も下にしかれたジャケットも、床もすべてビタビタに濡らして光っている様子が浮かんだ。想像の中でソコはふっといバイブを深く突っ込まれてて。ぶるぶる音たてて震えてるソレもやっぱりびしょびしょになってて。

「っ!」
 その思考のせいか、ソコがつん、とかすかに動いて、おさえた俺の手をもちあげようとした。



 動いてる。

 うずいてる。



 それは痙攣のようで、鼓動のようで。
フツウなことのようで、ひどくイヤラシイことのようで。

 もっとそうさせたいのか、やめさせたいのか。

 俺は手のひらの力を強くした。場所をすこしずらして、手のひらでなく四本の指がうずいたソコにあたるようにして、押すのと ぐにぐにまわす動作を繰り返す。


「・・・・・・っ・・・・・っ」

 続けていると感触がかわり、すべりが良くなってくる。
もう?とも頭の奥が思ったが、指は確かに濡れていた。







つづく












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人に「もし異性になれたら何がしたい?」と聞くと、けっこうストレスたまってんなあという答えを返してくれるものです。
伊田くると


ゆーか様へv
キライにならないでください

03 5 13〜21