「どちらか選べ。ルフィを選んだら・・・連れて行く」
―――― もうあの男には関わるな。
ルフィを選んだら ―――― 連れて行く。
目の前の男が告げた単語が頭の中で繰り返された。それはゾロの声じゃなく、抑揚も高低もない機械じみた音で、ひどく耳障りだ。
ゾロがした質問はクイズじゃない。ただ残酷な、二者択一。
迷うこともなく。
答えは決まっていた。
「―――― ルフィに決まってんだろ。クソ野郎」
口にしてから、その答えに自分で驚くぐらい。
|
|
LIKE LOVE
6
|
|
「まぁ、ひどい質問だよな」
言葉を返したのはゾロじゃなかった。
俺とゾロはハッとして声の方向に視線を走らせる。
中途半端に開いたままだった扉が風のせいでなくゆっくりと動いた。
キッチンは電気をつけていないから、扉が開けはなたれたことで室内がぱっと明るく変わる。
厚い扉に軽く手をかけ、まだ強い日を背中に受けた男がそこにいた。
「エース・・・・・・」
視界にエースが入ったとき、俺は現状をまるで忘れて、ただ単純にホッとした。
また、この船に戻るとは約束してなかったからだ。それがひっかかったままだった。ターゲットを探して放浪しているヤツだから、ふらっと挨拶もなく いなくなっててもおかしくない。
ゾロが俺の両肩から手を外した。無言のまま俺から離れる。その射るような眼はエースに向けられていた。エースもまたゾロを見ていた。こちらに敵意はなかったが。
「ひどいのはお前がしたことだろう」
ゾロが先に口を切った。
口調は明らかに冷たくて、目の前のエースを責めていた。
「―――― 知らなかったんだ」
テンガロンハットを指で器用に回転させてエースが答える。相変わらず軽い声音で、ゾロの雰囲気と合っていなかった。
そんなふたりの会話より、俺は先刻の自分の発言をエースに聞かれたことに今さら気づき、動転していた。
ルフィとエースとで、ルフィを選ぶと言った、あの言葉を。
考えて出した答えじゃなかったが、本心だった。弁解はできない。
エースがどう思ったか、俺は気になって仕方がないが ふたりともそれには触れなかった。
「三刀流、サンジと少し話させてもらっていいか?」
エースは俺のことを見ないまま、ゾロに許可を求めた。ゾロが出した ルフィを選ぶならもうエースに関わるな、という条件をやはりエースは聞いていたんだろう。
ゾロは少し眉をひそめた。が、一瞬だけ俺に視線をやると軽くうなずき、そのまま無言でキッチンを去る。ご丁寧に扉まできちんと閉めていった。律儀だ。
「――――サンジ」
閉まった扉をふたり、なんとなく見ていたが、ふいに名を呼んでエースが俺のそばに一歩近づいた。
それだけで心臓がはやくなる。恋は熱病だと、昔レストランにやってきた詩人もどきが俺に言ったが、それは正しいのかもしれなかった。
ゾロとの約束を守るなら、これが最後の会話になるのか――――?
自分で選んだくせに、そう考えると心が冷えて、すべてを拒絶したくなった。
|
|
対話を終え、エースをキッチンに残したまま外に出る。甲板の手すりに寄りかかって腕組みをしていたゾロが怪訝そうに俺を見た。
「もういいのか」
もっと待たされるとふんでたらしく、短さに驚いている。
「ああ。もういい」
もういい、か。投げ出したようなセリフだな。
ゾロもそう思ったか、何か言いたそうな困惑の表情。
「ルフィのとこに連れてけよ」
余計な詮索をされる前にこちらから水を向ける。
お前得意の約束だろ?。とイヤミたらしくつけ加えると、挑発に乗る気がないアピールか肩をすくめて見せた。
「ああ。ついて来い」
が――――
「・・・・・・・・・・・・・まだかよ?」
スタスタと早足で俺の前を進んでいく剣士に何度目かの質問をした。
そのたびに「もうすぐだ」「あと少し」と婉曲な答えしかよこさないこいつに、イライラがつのる。
「てめぇなぁ・・・道に迷ってんじゃねぇだろうな」
だとしたらオロスぞマジで。
普段だったら、もうとっくにキレて足が出てる状況だったが、さすがに今日は思いとどまっておく。
クソ剣士が、ルフィんとこに連れてくって言うからこそ、ずっと後ろをついてってやってんだぞ。
図星だったか、ゾロの背がぎくりと硬直した。
つきあってられねぇ。こいつに道案内なんてそもそもムリだったんだ。パティに正しい敬語をしゃべらせるくらいムリ。マリモが海で生息するくらいムリ。
「連れてかねーでいーからよ。どんなトコだったか言え。自分で探した方がよっぽど早いぜ」
これ以上ガマンならないと足を止めると、ゾロも止まった。もうかなり歩いていて、にぎやかな市街地を抜けていた。この島の主な産業なんだろう、のどかな農道が広がっている。
俺の方をやっと振り向いたゾロは、困りガオで後ろ頭をかいていた。
あきらめが悪く、まだたどりつける気でいるのか周囲をきょろきょろしてるが、俺の推理だとますます離れてるんじゃねぇだろうか。逆方向だったりしてな。
―――― 昼はエースにつきあって、今はコイツにつきあって外出かよ。いそがしーぜホント。
そう思うと、とたんにさっきまで思考からあえて外していた男がまた脳裏に浮かぶ。
が、あわててその影を消した。
今は考えるな。そう自分に念を押す。
気を取り直して、再度俺は究極の方向オンチに質問をした。
「心当たりがあるって、どんな心当たりなんだよ」
ますますゾロは眉をしかめて俺から視線をそらす。凶悪なツラにしか見えねぇが、逡巡してるようなのは伝わった。
が、確実に道に迷っているのを認めたらしく、重い口をやっと開く。
「山の上だ」
「・・・」
無言でニラむ。
そんなヒントで分かるか。この島は居住地の平野部をのぞいて凹凸が激しくて、小さいのもいれれば山の数は二十近くあるんじゃないだろうか。見渡す限りでも。
無言の圧力に押されたゾロがない頭をしぼって記憶をたどっている。
「・・・・行く途中エントツがあった。わりと太いヤツ。でも煙は出てねぇ。あと、道の真ん中で柴犬が寝てたな。ナミが食事の予約入れた店の近くの山のはずだ」
――――エントツね。まぁてがかりだろう。柴犬が寝てたは論外。この男はどうしようもないバカだ。
ナミさんが俺の誕生日のためにディナーのデリバリーを頼んだ店名はチェックしたから覚えている。変わった香辛料を使ってたから何か聞こうと思ってたからだ。
「分かった。自分で探す。頂上でいいんだな」
アホらしいが、目星をつけて登ってみるしかないだろう。幸い、小山がほとんどだ。特に町の付近は。
・・・ってコトはやっぱりゾロは明らかに見当違いな場所に俺を連れまわしてたことになる。後で蹴り殺そう。
背を向けて市街地に戻ろうとした俺に、少しだけ慌てたゾロの声が追いかけてきた。
「あいつが、お前に見せたいって言ってたんだ」
――――ルフィが・・・?。
だから、そこにいるはずだ、とゾロはしめくくった。
デリバリーを頼んだレストランを探し、そこから見えるエントツをチェックした。視界に入る範囲でふたつあったが、ひとつはもう廃業して稼動していないと聞き、ならこっちだろうと選択する。
―――― ったく、宝探しじゃねぇんだからよ・・・。
自分は何をやってるんだ、という気分に何度もなった。エースのことだって何度も頭をよぎった。ルフィのことはもちろんとして。
山に入る。春島だから新緑の香りがゆたかだ。ハイキングだったら清清しい気分になれただろうが、そんなさわやかな状況じゃない。
とりあえず一番の候補地として選んだが、ゾロの手がかりも曖昧だし、ルフィが俺に見せたがってたもの、ってのもクソゾロは言わなかったので、このルートで合ってるかはなはだ不安だ。
もっと不安なのはルフィがどこにもいないんじゃないかということだが。
「・・・・・・」
誕生日の日を思い出す。
俺を拒絶していたアイツを思い出す。
痛い記憶だ。
気づかずにしたこととはいえ、俺もエースも・・・あいつを傷つけてたんだろう・・・きっと。
ゾロの言うことが真実なら、そういうことになる。
外観はなだらかな丘に見えたが、実際中に入り中腹を越えると急に傾斜がきつくなった。途中まであった人間用の通り道もない。いわゆる獣道が細く続いている。
迷うことがないよう、道順と方角を細かく確かめつつ進む。まあ、のぼっていれば山頂にはつく。
「ルフィーーっ!!、おらクソゴムっ、いねぇのかよっっ!!」
日が落ちてきた。
木々で隠れて見えないが、きっと西側には大きな夕日が出てるはずだ。視界がオレンジに染まって、普段なら好きな時間帯だが焦りが生まれた。
この山にいるだろう、いなかったら次の山に、と思っていたのが、この山にいなかったら今日はもうムリだ、に変わる。そして、今日はムリだ、から今ここで会えなかったらもう会えない、まで思考が発展しそうになる。
ヘコんでる時になんでも悪いほうに考えちまうのは自覚ある自分の悪癖だ。
「ルフィーーーっ 呼んでんだから返事しろよっっっ」
どうしよう。
もう頂上についちまう。
夕日が空を支配する時間はわずかだ。すべての境界が曖昧になるトワイライトゾーン。そして山内は徐々に薄闇に塗り替えられていく。
そうだ。気弱になるのはこんな時間だ。
足場の悪い地面を進む。数日前に雨でも降ったか地面は湿り気をおびていて、カカトがめりこみ安定悪くずり落ちる。靴が汚れるのをいとうヒマもなく俺は周囲を見回しつつ歩く。
「今出てこなかったらもう肉食わせねーからなっ!。この前作ったドーナツも全部チョッパーにあげちまうぞ!」
自分でもアホかとツッコみたくなる脅し文句を思いつく限り並べたてる。
「ウソップに作ってもらってたヘラクレスの模型も捨てちまうぞ!。ナミさんのミカンおすそわけしてもらってもテメェにゃ恵んでやらねぇぞ!」
「・・・・・・・・・・っ」
なあ頼むから――――。
出てきてくれ。
ゾロも。
エースも。
みんな。
心配してる。
―――――――― 嫌わないでくれ。
「出てこなかったら―――― もう、口きいてやんねぇ・・・」
脅し文句のネタがなくなって、最後に口に出た言葉は、ひどく気弱で。
情けないほど小さな声になった。
だから。
「それは困る」
急に降ってきたその言葉がやけに凛と大きく聞こえて。
全身が硬直した。
|
|
「おわっっ!!!」
そのせいでかは知らないが、下のぬかるんだ地面の一部が突然崩れ、勢いよく後方に足をとられる。本調子じゃなかったせいもあってとっさに対応できなかった所に、ぎゅいんとのびた腕が背中に回りしっかりと支えてくれた。
転倒をまぬがれ、ホッとひと息。それから、伸ばされた腕に目をやる。
腕の先にはもちろん、俺の探してた姿があった。
高い常緑樹の枝のひとつに座っている、船長の姿。
ルフィの腕はすぐに外され、またもとの長さに戻った。
枝の上にいるルフィの表情はよく見えない。
「ルフィ・・・・」
不安になったのと同時に、ルフィはすとんと地面に着地した。けっこうな高さがあったがバランス感覚がいいのか
まるではかったように俺の目の前に。
飛ばされないよう麦わら帽子を利き手で押さえるいつものしぐさになつかしさすら覚えた。
―――― こんなに長いこと会わなかったのは久し振りだ。
長い、なんて人がきいたら笑うだろう。たった数日のことだ。でもいつも一緒にいた。四六時中、一日中、ずっと。家族のように。
「口ききたくなくて隠れてたけど」
「サンジと話せなくなんのは、困る」
「・・・・・俺も・・・・・・・・俺だって・・・・・クソ困るぜ・・・」
向けられた視線が、驚くぐらい優しかったから。
ホッとした、それだけで泣きたくなることがあるってことを、俺は初めて知った。
|
|
周囲は完全な闇になった。
うっそうとした常緑樹ばかりの森のせいで、照っているはずの星や月の光も満足に入ってこない。
ルフィは俺の手をひき、少し歩いた場所に落ち着くとそこに座らせた。それから、ヤツ自身も隣に座る。
こう暗くなっては下山しない方がいい。明るくなるまでここにいることにした。ルフィが果物をいくつか取ってきて、それを夕食にする。
ルフィはいつも通りだった。だから俺もいつもの俺のように振舞う。エースの話は出なかった。不自然なくらい、船の話題を避けていた。
横から、規則正しい寝息が聞こえる。
あまり寝てなかったのか、ルフィはしばらくするとすとんと眠りに落ちた。光源のない森の中は本当に暗くて、すぐそばにいてもなんとなく輪郭が分かる程度。
眠る前に麦わら帽子を預けられた。イミはよく分からなかったが持ってろってことらしい。ふとポンと頭にかぶってみた。こいつの夢の始まりの帽子。何よりの宝物なのは俺も知ってる。
「俺にとっては、夢の始まりはお前だけどな」
くかーくかーというのん気な寝息に笑いたくなりつつ ひとりごちる。
こんな子供みたいなヤツが俺を動かした。来い、と差し出された手。あれほどの吸引力を俺は体験したことがない。
強い力に引き込まれる感じ。
動悸が速くなって、落ち着かなくて。
―――― それはとても、恋に似ていた。
いつの間にか、俺も うとうとしていたらしい。
ふと、肩をゆする感触に目を覚ました。
ルフィの手だ。
先刻より視界がずっといい。もう夜明けの時間なのか。
数時間ほど寝入ってしまったみたいだ。キリがよかったのか頭はすぐにきちんと目覚める。
「ん・・・そろそろ下山するか?、ルフィ」
夜明け前から、しかも普段はけっこう寝坊なルフィに起こされるというのも珍しいが、俺がそう聞くと、ルフィは首を横に振った。それから、預かったまま俺がかぶってた帽子をひっぱり、さらに目深に押し下げた。
「わっ」
目のラインまでぐいっと下ろされたのでびっくりする。麦わらの広いつばに遮られて視界の上半分がなくなってしまった。すぐ横のルフィの顔も口元までしか見えなくなる。笑っていた。
「見せたかったんだ」
ルフィの唇が動いてそう言った。
そういえば――――
ゾロが俺を山に連れて行きたがった理由を思い出した。俺に――――見せたいものがある、って。
――――?。
でもこんなコトされたら見えるモンも見えやしねーんだけど。
麦わらの上を押さえるようにルフィの手が置かれている。つばをのけようとしたら怒られそうだ。
俺のほうがいくらか背は高いが、そうされていると頭をなでられてるみたいだ。制限された視界に映るルフィの身体はまだ幼さを残した細身だが、あと数年もしたらきっと自分は背も抜かされそうだし、たくましさでも負ける気がする。ゾロだとシャクだが、ルフィならいいか、と思えるのはなんでだろう。
ルフィが手に力を込めて俺の頭をさらにうつむかせたので、もう地面しか見えなくなった。マジでなんなんだ?。
辺りは加速度的に明るさを増していく。日の出の時間だ。
「お前の目の色。日の当たってる海の色そっくりだ」
そして、ふいに視界が開けた。ルフィが目隠し代わりにしていた帽子を取ったのだ。
直に朝日が目に入って、慣れてない両目はまぶしさにくらむ。もともと碧眼ってのは直射日光に強くないから、めまいすら感じかねない。思わずぎゅっと目をつぶると、その間にルフィは俺の手をひっぱり今まで座ってたのと逆を向かせた。
「な?、海みてぇだろ?」
「・・・・・・・え?・・・」
明るさに順応してきた目を開けると、そこには青が広がっていた。
一面の青。
薄く明るい。
でも鮮やかな純物質の青。
空じゃなく、確かに海の青だった。
「サンジの眼の色の海だ」
登る朝日に照らされて、嬉しげに笑うルフィ。
これを俺に見せたいと言ってくれたのか・・・俺も気づいたら笑っていた。
それは青い花畑だった。
きっと自然のものではないんだろう。誰かが過去に一種だけ、この青い花の種を植えて育てていたに違いない。光に淡く浮かぶその青い光景は鮮烈で、心の底から感動した。
「きっとオールブルーはこんな色だ!!」
ルフィの弾んだ声。
昨夜の暗闇で見たら、こんなに美しくは見えなかっただろう。朝露に反射して輝く花。時折吹く風に揺れる様は波のようだった。
―――― オールブルー・・・。
ルフィは誇らしげにその名前を口にした。
きっと初めて、その奇跡の海の存在を知った時、俺が思い描いたものに近い光景が、今目の前にある。
それが、ルフィが俺に見せたいと言ってくれたものだった。
――――エースは。
俺の夢も知らない。
オールブルーも。
俺がそれを目指してることも。
青い花畑を見て。
これを俺の目の色だと言って。
そこにオールブルーを重ねて見たりはしない。
こんな風に。
こんな風に、笑ってはくれない。
、
|
|
自分の中で、ここ数日、もやもやとわだかまっていたものがすべて氷解したのが分かった。それにきっと、俺より早くエースが気づいていたことも。
「ルフィ」
ゆっくりと声をかける。
「―――― 俺が選ぶのはお前だ。それは変わんねぇよ」
この先なにがあっても。
きっとそれは変わらない。
「・・・・・」
ルフィは黙って聞いている。
「お前とエース、どっちか選べってゾロに言われたとき、悩んだりしなかった。お前のが大事だ。お前のがずっと――――大事だ」
エースに嫌われるより、お前に嫌われた方がショックだ。
エースに裏切られるより、お前に裏切られた方がショックだ。
エースが死ぬより、お前が死ぬことの方がつらい。耐えられない。
「お前が大事だ」
「あのヒゲのオッサンよりか?」
ルフィが間髪いれずに切り返してくる。
そうきたか。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。同じくらいだ」
「しし。俺、サンジにすげぇ大事にされてんな」
困った末の返答はある程度読まれていたらしい。ゴムのくせに。ガキそのままのカオでルフィが笑う。
そうだ。お前は特別なんだ。
クソジジイみてぇに。
オールブルーみてぇに特別だ。
「俺もサンジがスキだ。大事だ」
笑った顔のままルフィは言った。けど、それはどこか悲しそうだった。
「でも、俺のスキとサンジのスキは違うんだな」
――――ルフィがスキだ。大事だ。特別だ。
恋愛よりずっと、深いところで。
それは。
恋に似てるけど、恋じゃない。
でもとても、恋に似ていた。
つづく
|