「よぉ、元気か?」
船のへりに、いつの間にかルフィの兄エースが座っていた。
「エース!どうしたんだ。なんとかってやつ見つかったのか?」
甲板にはルフィ以下、男連中が集まっていた。
ナミとビビは自室で航海対策に余念がない。
「なんとかって奴じゃなくて黒ひげ。どうにも見つからねぇんだな。
そしたらお前の船が見えたからこうしてまた寄ったって訳だ。
とりあえず折角来たんだし、エッチしよーぜ!」
突然のエースの言葉に全員が固まった。
「な・・・何・・・?」
聞き間違いかと思い、問い返す。
「ストレス発散だ。しばらく1人っきりで航海してたからサビシィんだよ」
はぁ、と大きく溜息をついて見せ、ついでに泣き真似も加える。
「ルフィは食欲旺盛だろ。俺は性欲旺盛なんだ」
そしてパッと顔を上げると『ど〜ん』と効果音付きで言ってのけた。
「威張って言うことか・・・」
「やっぱルフィのアニキだよな。欲に忠実だ」
ルフィだけは、1人『なるほど』と頷いている。
「とりあえず俺はサンジ貰い♪」
エースはひらりと飛び降りると、サンジを脇に抱え駆け出した。
「は・・・?」
誰もが呆然と立ち尽くす。
ミカン畑まで来るとエースはサンジを下ろし、その服の裾を捲り上げた。
「脱がせにくい服だな。どうなってんだ?」
展開に着いて行けなかったサンジもようやく我に返りエースの顔面に蹴りを入れた。
「何してやがんだよ」
顔に綺麗な靴の形が残る。
1歩出遅れたルフィとゾロが叫びながら追いかけて来た。
「サンジはおれのだーっ!」
「渡さねぇ。その手を離せ!」
多少我を忘れている感もあるが気合十分で構える。
「ゴムゴムのぉ〜・・・」
「鬼・・・・」
「え・・・うわっ!ヤメロっっ」
サンジの静止も聞かずに2人は技を繰り出した。
「まいっか。とりあえず下だけ脱がせれば」
サンジの蹴りにも2人の攻撃態勢も、全く気にせずエースは手をかざした。
「ガトリング!!」
「斬り!!」
「火拳」
エースが一言呟くと、ボッと火の手が上がる。
「あっっっちィ!」
「うわっっ」
炎に阻まれ、ルフィとゾロの攻撃は全くミカン畑の2人には届かない。
「船の上で火なんて使うなっ!」
「おー悪りぃな」
少しも悪いと思っていない口調。
焦げた匂いが立ち込める。
「おお、いいカンジ♪」
見るとサンジのベルトは焼け落ち、ズボンが足首まで下がってきている。
とばっちりを受けた、エース曰く『脱がせにくい服』にも所々に焦げ目が付いていた。
「クソヤロー、熱ちィじゃねェかよ!!ま、コックにとって火なんざどうってコト・・・」
「うまほーな匂いだ・・・」
サンジの言葉が終わる前に、不吉な船長の言葉・・・。
「なに・・・」
「肉みてぇだーっっっ!」
叫ぶと同時にびよん、と腕が伸びてサンジに絡まった。
「え・・・オイ、ちょっと待て・・・」
ズボンが絡まって足枷になっているので逃げることができない。
「肉〜〜〜っっっ」
「ぎゃーっっ」
物凄い勢いで腕の持ち主が飛んでくる。バチン!と音がしてサンジの目の前に星が瞬いた。
「いてて・・・・・・・痛ってェ!!ルフィかじんなっ」
ぶつかった衝撃のすぐ後に、鋭利な痛みを感じてサンジは叫んだ。
ゾロも駆け上がって来てルフィを引き剥がす。
「てめぇ離れろ!」
エースはその様子を面白そうに眺めていた。
その頃、ナミは自室で外の騒ぎに耳を傾けていた。
「ウソップ、あんたは参加しないの?」
ウソップは早々とチョッパーを連れて前線離脱。
「するわけねーだろ。あんな化け物共と」
「それが賢明ね、ウソップさん」
ビビでさえ、もう慣れてしまっている。
「何の話だ?」
チョッパーは1人心配そうに外を窺った。
「子供は知らなくていいの」
「ヤメ・・ろ・・はぁ・・・この・・クソ・・ヤロー・・共・・・っ」
サンジに噛り付いていたルフィも、それを引き剥がしていたゾロも
いつの間にか目的が変わってきていた。
「あっ・・・っ・ん・・ひぁっ・・」
服の焦げ目から手を突っ込んでくにくにと弄る。
「ルフィ離れろ」
「ゾロこそ離せ」
四つん這いのサンジの膝がカクカクと震えた。
「ひっ・・ん・・あ・・・はぁ・・」
「サンジはおれの手に感じてるんだ!」
「いいや、俺の手にだ」
きゅんとサンジの背中が仰け反った。
「はぁ・・っあっ・・・っ」
ぴくんぴくんと小さく痙攣している。
「そろそろイイかな」
頃合を見計り、エースがまた2人に炎を浴びせた。
「熱つっ!!」
ルフィとゾロが吹き飛ぶ。
快感に翻弄されたサンジは立つことができない。
抱え上げ、軽くしごくと限界にきていたサンジは簡単に弾けた。
「はぁっっ・・んんっ」
そしてエースは、2人の手で充分に慣らされた秘孔にちゅぷんと一気に刺し挿れる。
「ひっっ・・あぁっっ」
「気持ちいい?」
耳元で囁かれ、その吐息にさえ感じてしまうサンジはエースの肩口に頭を押し付け首をすくめた。
「は・・あ・・っ・・くぅ・・ああっ・・・っ・はぁ・・」
「もっと気持ちよくなりたいだろ v」
両足を抱え、ぐんっ、と更に深く埋め込む。
「あぁっ・・やっ・・・あ・・っ・・ぁぁっ・・はぁ・ふぁ・・」
サンジは目も開けられずにふるふると震え、エースの律動に合わせ腰をくゆらせた。
「ずるいぞエース!自分ばっかり!」
「俺達が散々慣らしたのによ」
少し露点のズレた2人がミカン畑に続く階段を駆け上がってくる。
2人の到着を待たず、エースはトンッと飛び降りた。サンジを抱えたまま。
つまりは挿れたまま・・・。
「ひぁっっ!・・っあっ・あ・っっはぁっ・・やめ・・っっ・あぁっ」
追いかけられるまま、エースは笑いながら逃げ惑う。
走る度に、振動でくちゅっくちゅっと腰が打ち付けられた。
「あっ・・あ・・・んんっ・・はぁ・・っあぁ・・」
気持ちとは裏腹に身体はどんどん快感に押し上げられ、サンジは必死でエースにしがみついた。
「も・・もう・・っっ・あ・・ヤメ・・・ろよ・・ひぁっ・・は・・っあ・・」
サンジの内がきゅん、と締まるのを感じてエースは聞いた。
「何?もうイキそう?」
「ルセー・・・っっ・はぁ・・んっ・・クソヤロー・・・っ」
快感に涙を浮かべながらも強がる。
それを聞き、エースは腰を大きくバウンドさせた。
「ひぁっっ・・あ・あっっ・・・」
「無理すんなって。はぁ、俺も限界だしなぁ」
エースは振り返り、2人に向けまた、今度は大き目の炎を浴びせる。
「ぐぁっっ!」
「あぢっっっ!」
焦げた2人が床に転がるのを見届けると、エースはサンジの片脚を下ろし
壁に寄りかからせ本格的に激しく律動し始めた。
「いっ・・や・・はぁっっ・・あ・あ・・ああっ・・はぁ・・んっ・・あっっ・あぁっ」
サンジは背中を弓なりに仰け反らせ、腰をくねらせる。閉じた目の端から快感の涙が零れ落ちた。
「ひっ・・あ・あっ・・っは・んっああっ・・」
呼吸が速まりきゅんきゅんと痙攣するようにエースのモノを締め付けてくる。
エースはサンジの片脚を限界まで抱え上げ、更に激しく抽送した。
「やっ・・も・ダ・・・メっ・・だ・っ・はぁ・・っうぁ・ん・・・はぁ・」
「俺も・・・」
エースがサンジの身体に集中しているのを見て、転げていた2人が一気に近付いた。
「イかせるかぁっ!」
ルフィの拳とゾロの刀の柄が同時にエースの後頭部を直撃する。
その反動で頭は後ろの壁に突っ込み、エースの動きが止まった。
「はぁっ・・あ・ああぁぁっっ」
しかしサンジは止まりきれず、ぴくんぴくんと身体を震わせ、切なげな声を上げて
2人の目の前で一気に昇りつめてしまった。
エースは両手をダラリと下げ、顔を壁に埋めたまま。
支えを失ったサンジはズルズルと崩れ落ちる。
上気したピンクの頬と潤んだ瞳を見た2人の喉がゴクリと鳴る。
「つ・・・次はおれの番だぞ!船長命令だ」
「ふざけるな。都合のいい時ばっかり船長面しやがって!」
そこへ意識を取り戻したエースが壁から顔を引き抜き2人の言い争いに加わった。
「俺はまだイってねぇ!まだ俺の番だろ」
「あら、ウソップさんは?」
「漁夫の利を実践しに行ったわ。浅はかよね」
「結果が目に見えてるわね」
頭上で3人が争っている中、ウソップは歩伏前進で近付く。
「サンジ、大丈夫か?」
まだ息の整わないサンジはぽぉっと目を開けた。
「ウソップ・・・?」
熱い吐息と共に自分の名前を呼ぶサンジを見て、クラクラと目眩を起こしそうになったが
下心を見せずにウソップは言った。
「副船長の俺が来たからにはもう安心だ。さ、へ、部屋へ・・・」
サンジに差し出した両手は、無情にも刀で遮られた。
「横からかっ攫らおうなんざ上等じゃねぇか」
見上げると、これ以上ない位の極悪な元海賊狩りの顔。
「ぎゃーっ見つかったーっ!!!!
・・・・・・いや違うんだ、聞いてくれ。知らない間に俺はこの場にテレポートしていたんだ。
グランドラインって本当に不思議だな。たぶん時空の歪みと気圧の変化から・・・」
「嘘だろ」
3人の冷ややかな視線を受け、ウソップはいつもの様に逆ギレする。
「うるせーっ。お前らみたいな体力自慢の化け物に真っ向から勝負できるかっ!
俺は俺の頭脳を駆使してこれ以上ない計画を立てて・・・」
「ずるいだけじゃねぇか」
「ここは年長者に譲るのが一番だろ」
「1つしか変わらねぇだろ」
「じゃお前2番な」
「若い順だ!」
「何やってるんだお前ら!サンジぐったりしてるじゃないかっ!」
4人の人間の不毛な戦いを止めたのは賢いトナカイ。
「げっ・・・チョッパー・・・」
一瞬引くが、すぐに開き直る。
「子供はひっこんでな」
「トナカイはひっこんでろ」
「獣には関係ねぇ」
「今大事なところなんだ」
またしてもサンジを賭けた争いを始める4人に、チョッパーは怒鳴る。
「やめろーっっ!」
そして実力行使。
「うわっデカくなった」
「反則だぞ」
「反則も何もあるかっ。とにかくサンジは連れてくからな」
4人を投げ飛ばしたチョッパーは、有無を言わせずサンジを抱え船室へと消えた。
残された4人は転がりながらその後姿を見つめた。
「じゅ・・・獣姦・・・?」
「怖いこと言うなよ」
チョッパーのあまりの勢いに暫し呆然としていた4人だがさすが年の功
エースがいち早く立ち直り言った。
「ちぇっ、サンジいねぇんじゃここにいても仕方ねぇな。帰る」
何事もなかったかのように来た時と同じく船のへりに立つと振り返り、軽く手を挙げた。
「じゃ、見かけたらまた来るな♪サンジによろしく」
そしてスッと飛び降り、自分の船であっという間に去って行った。
「もう来んなーっ!」
「サンジはおれのだー」
「そんな事誰が決めたんだ!」
「いつの日か逆転大勝利だな」
「お前またズルするつもりだな」
「今度やったら殺すぞ」
「今まで隠してた海王類をも凌ぐ俺の実力を・・・」
「「嘘だろ」」
何が起こるかわからないグランドラインで、サンジの航海・・・後悔(?)は続く。