強奪プレゼント




 その日はとても天気が良かった。

 ゾロは、所構わず寝てると思われがちだが、その実それなりに気配には敏感だ。

 そうでなくては目指すモノに手が届く前に、元も子もなくなるような生活をしてきたのだから…当然と言えば当然なのだが。

 だから…微かな足音を立ててゆっくり近付いて来るサンジの気配にも、随分前から気付いていた。

 独特の歩調、その気になれば、綺麗に消せる気配を殺す様子もなく、だが、意外な程穏やかに。

 警戒を要する殺気は無論の事、絡んでくる様子も無く…なので、ゾロはそのまま昼寝を続行した。用があれば起こすだろう、きっと、無理やりでも。

 ただ、その予想は半ば裏切られた。

 近付いたサンジが、アタリマエのように横になったゾロの傍らに腰を下ろす。

 風で、嗅ぎ慣れた煙草の香りが運ばれてきた。

 それが、ヤケに近いな…そう思った時。
 ふわり…一瞬何かが、ゾロの唇の端を掠めた。

 そうして…

「俺さ、オマエの事好きみたい」

 見たままの事実を告げるような、アッサリとした口調で。

 あまりにソレが、サラリと告げられたから、ウッカリ聞き逃しかけた。

 一瞬後、ふと…その予想外の言葉の意味に気付いた時、恰も見透かしているかのように、コツンっと、額を小突かれる。

「寝たフリしてんじゃねぇよ、襲うぞっ」

 続いた言葉に、慌ててゾロが飛び起きると、サンジは酷く楽しげに声を立てて笑い出した。

「……テメェ」

「なに?そんなに俺に襲われんのは嫌かよ、失礼な奴だな」

 低く、限りなく恫喝に近い声で唸るゾロの様子に構う事無く、笑みを深めるばかりで。だから、揶揄われたのだろうと、眉間に皺を刻んだゾロに。

「ま、襲うってのは冗談だけどよ、好きなのはホント」

 ふっと、真顔になって、サンジが言った。

「知らなかっただろ?」

 言って、腰を上げる。

「因みに、俺今日実は誕生日だったりするんだけど、プレゼントは勝手に貰ったから」

 二コリと、滅多にゾロへは向ける事のない柔らかい笑みを見せて、身を翻す。

 呆気に取られたゾロが、問題の『プレゼント』が先刻掠めたソレであった事に気付いた頃には、その背中はキッチンへと消えていた。





end










「俺さ、オマエの事好きみたい」

――――カワイイカワイイカワイイ〜〜〜(><)
 あっさり言っちゃうサンジさんが大好きですv。

誕生日記念DLFだったので、そっこー奪ってしまいました。
未来サマ、ありがとうございましたvvv
伊田くると


ゾロ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・/////」
ナミ 「何かたまってんのアンタ。珍しく起きてると思ったら」









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